しかし、その瞬間、私の中で何かがキレた。

 

私は、開けようとしたドアを閉じて、またクマオに言った。正確には喚いた。

 

「大切にってどういうこと?じゃあ、女がいるクマオさんのこといつまでも待ってることが

私にとって自分を大切にするってことなん?」

 

そしていったんキレるともうストッパーはなかった。

 

「彼女のこと、女としての魅力があるって言ってたけど、私だって私とセックスしたいって

思ってくれる人とセックスしたいよ!そんな男いないって思ってるかもしれないけど」

 

「はぁぁ~」

クマオはやってられないと言わんばかりにため息をついた。

 

「何よ、自分だって結局セックスじゃん!そんな女。そんなやっすい女。私より若いだけの

そんな女。どうせならもっと高嶺の花目指せば?情けないわ。どうせブスでしょ。

私、そんな女に負けたんだ。おばちゃんやもんね。抱く気もしなかったんやもんね。

私、絶対彼氏見つけて、これまでセックスしなかった分取り返してやるねん!」。

 

「そうだよ。オレは性欲に負けたよっ!セックスしたかったからねっ!男やからねっ!」

クマオも喚いた。

 

考えたらこんな夜中にいい大人の男女が、外でセックス、セックスと言って喚いてる。

 

「どうせ、彼女はいない、女友達はいるけどね、とか言って女を口説いたんでしょ。

あんたのやることなんて、だいたい想像つくわ。しょーもねーなぁ。」

 

もう「クマオさん」なんて言ってられなかった。

 

「もう帰るっ!」クマオは怒って踵を返して帰って言った。

 

もう12時を廻っていた。