翌日曜日。3月4日。必死で目を閉じてはいたけれど、眠れないまま朝を迎えた。

 

金曜の夜からだから36時間に眠っていないことになる。当然食欲もない。

 

何とか身体を起こし、キッチンへ。冷蔵庫の中にはインスタントのおうどん。

 

作ってはみたけれど、3筋食べるのがやっとだった。

 

夕方、インターフォンがなる。社員旅行から帰ってきたクマオがお土産を持って来ている。

 

一瞬躊躇したが、ドアを開けた。硬い表情でお土産袋を手にしたクマオ。

 

しばらく無言でお互い目を見つめ合っていた。先に口を開いたのは私。

 

「会いたかったよ。この二日間ものすごくクマオさんに会いたかったよ」。何故かわからないが

 

そんな言葉が出た。

 

同時にクマオが泣き出した。それもオイオイと声をあげて泣き、私をハグした。

 

私は言った。「他に好きな人ができるのは仕方ないよ。こんなおばさんがずっと彼女ずらして

しんどい思いさせてたね。ごめんね」。

 

クマオは首を激しく振って「違う。りこは悪くない」と泣きじゃくりながら言った。

 

「もう自由だよ、クマオさん。元気でね。お仕事頑張ってね。約束だよ」。そんな言葉を

 

私は何度となく口にした。円満なお別れ。これでいいのだ。

 

クマオは泣きながら、買ってきたお土産の説明をし始めた。たくさんのお土産。

 

女にも買ったんだろうな。そんなことを思いながら「ありがとう、ありがとう」と受け取る私。