今月はもう2本もの劇場公開作品を観てきた。
今回はそんな1本の映画を御紹介。
原作は「孤狼の血」などのシリーズものや、私も以前劇場で観た事があった「朽ちない桜」などの桜シリーズなどでも有名な
柚月裕子さん。
中央公論新社から発売された単行本(2017年8月21日)は、2020年9月には文庫本の上下巻として発売されています。
2019年にはNHK・BSプレミアムにて、ドラマ化もされて放送されました。こちらの方は私も知らなかったのですが、
千葉雄大が今回映画で演じた坂口健太郎の役・上条桂介役を演じている。そして映画でも強烈な印象を残す元アマ名人・鬼殺しのジュウケイこと東明重慶(とうみょうしげよし)を、ドラマでは竹中直人
映画版では渡辺謙が演じていました。
東明に関して言えば、ドラマ版で竹中さんがどれほどの気迫で演じられたかわかりませんが、少なくとも映画版の渡辺謙は、もの凄いオーラを放って演じられていました。
映画の後半で坂口健太郎と渡辺謙が、眺めの良い場所で将棋を指すシーンでは、二人の台詞を交えた演技が凄いと思った。![]()
物語の冒頭は、とある山中で偶然白骨死体がみつかり、その捜査上で遺体が胸元に抱いていた遺留品の将棋の駒が、誰かが握らせたのかそれとも置かれたのかと二人の刑事が捜査を開始します。
その将棋の駒は、この世に数個しか存在しないという名のある駒で、それを買った人物から探していく間に、ある人物のもとに足を運ぶことになる。
(この二人の辿る旅は、まるで1974年に公開された松本清張の名作「砂の器」を彷彿させる。テレビ版では04年に中居正広11年に玉木宏そして19年には東山紀之でドラマ化されている。これ以外にも複数回ドラマ化された名作だ。尚中居正広主演作品では、渡辺謙が主人公の和賀英良を追い詰める刑事を演じていた。)
その途中では、別の県内にて同じような身元不明な白骨死体が見つかる事件も起こり。後にこの二つの事件が複雑に絡んでいく事となる。そうとは知らずに二人の刑事のもとに、最終的に浮かび上がって来た名前が、突如彗星のごとく現れた天才棋士・上条桂介という青年だった。二人の内の若い刑事は、昔プロ棋士をめざしていた経験もあって、そっち方面での捜査に力を入れていくのですが、上条桂介という人物の生い立ちを知る度に気の毒にも思うほどに、どうしようもない父親と虐待された傷痕。そして桂介に白骨死体から見つかったあの将棋の駒と思われるものを、手渡した人物との出会いと別れ・・・・
桂介自身が偶然出会った東明という裏社会とも付き合いのある男。
その存在が絡み合い・・・・この物語が進行していく。
(鬼気迫る東明重慶を演じたのが渡辺謙・・・、初めは少年の頃の上条桂介の憧れの人として出会うも、その後桂介にとって憧れが疑心暗鬼な存在となっていく)
幼い桂介は目をかけてくれた元小学校の校長をしていた男性の元。
段々と彼と彼の妻の待つ家に出かけて来る度に、男性から将棋を教えてもらって腕をあげていくのだが、その桂介の才能に君はプロになるべきだと後押しをしてくれようとした時、飲んだくれでどうしようもない父親の存在が、桂介の未来を閉ざしてしまう。
しかし男性との交流はその後も続いていて、父親にはいい大学を出ればその分稼ぎのよい会社に就職できると言って、わざわざ東京の大学に進学をしたのだが、そこである夜偶然東明と出会い桂介の人生はまた大きく変わろうとしていた。
(不遇な少年期に唯一安らぎを与えてくれた元校長とその妻の存在。この出会いが後の彼の人生に夢と希望を灯し、人として強くなれる性格形成をなしてゆく)
上条桂介自身が出会った父親と闇の部分もある孤狼の棋士・東明そして、初めに彼に優しい手を差し伸べてくれた元校長であったという男性。
この三人の男達によって桂介の人生はその度に大きく揺るがされていきます。そして初めて好きになった女性との出会いで、彼は大きな決断を迫られることになる。
実際容疑者と疑われ始めた上条桂介ではあったが、物語の中では二人の刑事が桂介と対面するのはラストシーンだけ、そこへ至るまではずっと証拠や証言固めをしているとした事で、彼等を通して我々も桂介自身の生い立ちや背景を知る事となる。
そして最後の場面で刑事らも、初めて生で上条桂介という人物と向き合い。桂介自身も、どこかで白骨死体が見つかったとニュースを目にしていたかのようにして、一旦は窓の外を見るものの覚悟を決めたようにして、二人の刑事の待つ方向へと歩んでいく。
(故郷と同じようなひまわり畑を見かけて、懐かしさで訪れた先で出会った農園の娘。その出会いによって一度は穏やかな幸せを手にするのだが、招かねざる客が訪れた事でその平和が乱されて、再び不穏な影が桂介を包み込み始める。)
物語の後半では、思わずホラーかって思ったような意外な真実が語られる。それはまるで横溝正史的な内容で、主人公の桂介共々ちょっとゾッとしてしまう。![]()
![]()
いやいやこのお話は、ヒューマンドラマだよねって・・・・
まぁ~、その横溝正史的な件も、ちゃんと桂介とその父親との関わり方に繋がる事となる。でもね、唯一私的にはこの父親が、桂介に対してしつこいぐらいに「俺を置いて行くな」と、何故幼い頃より哀願していたのか。・・・・という件の深みが欲しかったかなって、妻を愛していたからこそ、その妻が亡くなった事で悲しむのはいいが、桂介の事を雑に扱う反面1人になる事を嫌い。
幼い桂介の前でも涙を流して置いて行くなと哀願する。
だがこの親子の関係性がわかった時に、複雑さゆえの父親の奥底を知りたくなった。
そこんところを詳しくここで書いてしまうと、映画のネタバレになるので今は書かないけどね。(笑)![]()
よくいる虐待と愛情のうらはらな親。
子供からしたらどちらも親だけど、どちらが本当かわからなくなる。
しかし比率的には1番記憶に残してしまう残酷な姿の方が、やはりそうなんだろうなと思ってしまう要因。
子供もどんな親でも親は親だと思う反面。そうゆう親は嫌な面を見せる事が多くて、その度に精神的にしんどく感じる事になる。
桂介もまた父親が現れる度に、自分の人生を壊されていく瞬間に出会い。最後は感情を爆発させてしまう。
桂介の中にも悪い父親の印象だけではなくて、時々は優しいところを見せてくれる・・・そんな思い出もあって、最後まで捨てきれない思いもあったりもしたんだろうが、
桂介はそんな父親に対して、「おまえも金か!」と叫んでしまう。自分に近づく奴らは、自分の金を目当てにやって来る・・・そう思えてきた時だった。![]()
私もこの作品を観ていて何度となく理不尽な現実に怒りを覚えて、物語の後半では涙が出てしまいました。![]()
あまり映画を観て泣く事はないんですけどね。(笑)
主演の坂口健太郎と渡辺謙さんの役柄が、演じているというよりも役そのものになってしまっていたような演技に、思わずその人の人生をそのまんま見せられているような気がして、2人の俳優の姿に胸を打たれてしまった。
俳優は誰かの人生を演じる事が当たり前の職業だけれど、演じるというよりも役そのものになっていたという感じ。
他にも元校長先生だったという男性を演じた、小日向文世さんの包み込むような演技にも、心が温かくなっていった。![]()
どの俳優さんもひとりひとりがその役柄に入り込んでいて、久しぶりにまた観たいなって思うような作品となりました。
DVD出たら買うかも・・・・・![]()
ここ最近日本映画の活躍が凄くないかという人達がいる。
確かに今年はヒットを飛ばす作品にも恵まれた。アニメでも「鬼滅の刃」を筆頭に、数々の作品が公開されて観客動員数での数字を伸ばしている。
レンタルやサブスクが当たり前の世の中で、わざわざ劇場へ足を運ぶ人って、そんなに多くはないと思うのね。
どうせその内どこかのチャンネルでやるし、サブスクでも見れるからいいやって、高いお金を払ってまで時間を使ってまで、映画館という空間に行こうなんて人は、昭和や平成の初めの頃よりも断然減っていると思う。
でもやっぱりいち早く観たいからとか、この作品は劇場で観たいと押し掛ける人がいる事も確かで、特にこうした話題作となると人は余計に早く観たいとお金を払って足を運んでくれる。
でもそれだけの勢いとそれだけの話題性と、それだけの内容と作品でなければならない。それが今年は特に多かった気がしました。
まだねぇ~~、「国宝」も観てないんだよ。![]()
それこそあれは劇場で観た方がいいと思っているんだが、現在は時間的にタイミングが合わない状況で、3時間ほどあるんでもう他に用事がない時にしか観に行けないなって・・・・![]()
「鬼滅の刃」も3時間近いくあると、公開前にはやんのやんのと文句をいう人のコメントもあちこちで見たんだけど、私的には昔は1時間半の映画を同時上映という形で、毎回公開する時は2本観ていた世代なので、特に時間は気にならないと思ったんだけどね。
途中でトイレに行けない行きたくなったらどうすんだよ・・・なんてコメントも見かけたことがあったけど、私的にはどうしても行きたくなれば行けばいいじゃん。
いちいち見る前から文句言うな・・・てな感じでしたね。
![]()
今は1本の作品の平均時間が2時間は当たり前の時代だし、もう少し長くて2時間10分~20分なんて普通だと思っているし、それに+数十分なんてそれくらいな時間ですよ。
それこそ文句がでるならば、おうちで見れるようになった時に見ればよろしいのではと、そう思うんだけどね。(笑)![]()
そんな中で、映画好きな私としても客足が伸びる事は、とても嬉しいと思っているんですよ。
昔はクリスマスやお正月は劇場で過ごす人もいたし、座席指定とか総入れ替えとかない時代は、朝イチ入ると夕方まで何時間も同じ俳優の主演映画を公開中なんて、5,6本はずっと劇場内で観てましたよ。
今は座席指定とか総入れ替えとかあるから、そんな事はできないけどね。(笑) サラリーマンの外回りなんて、劇場に仮眠しに来てたもんね。あの頃は本当に映画好きが入り浸っていた。
座席指定もないから、好きな席に座ったり座り直したり、次の上映時間は違う列で観てみようなんてこともできた。(笑)
今の若い人達いや、40歳前後から下の人達には信じられない話かもしれないね。![]()
なぜ上条桂介は殺人容疑者にならなければならなかったのか、その答えはラストのシーンにあります。
もっと要領がよければ・・・彼自身が警察に追われる事もなかったかもしれない。基、逮捕とまではいかなかったかも・・・・
そんな風に思う事もありました。不遇な人生だった上条桂介という青年は、只出会う人々の為に巻き込まれていったんではないかと・・・
映画「盤上の向日葵」
まだ観てないという方・・・・、是非観て欲しい作品です。
一度は劇場へ足を運んで下さい。できればね・・・・![]()
主題歌はサザンオールスターズが歌っています。
サザンの曲が使われるのも、映画作品では久しぶりではないかな。
曲の題名は「暮れゆく街のふたり」![]()
上条桂介という人間にとって、不幸な生い立ちや出来事もあったけれど、決して最後まで彼を見捨てず見守る存在もあったということ。
それが最後の瞬間の潔い彼の姿に現れていると思う。![]()
そして坂口健太郎と渡辺謙の演技に引き込まれます。
まずは坂口健太郎という俳優の演技・・・、なかなか上手いです!
将棋の事はわかりませんが、人の人生は理解できます。![]()
アンチなコメントを動画サイトでも見かけますが、あれはあれで数字をとる為だと思っているんで、まずは御自分の目で確かめて頂きたい。
物語の時代背景が今より少し古い時代でもあるんで、そうした演出が一部の人間達には古臭いとか昭和だとか思われているんだと思います。どんな作品もいちいちそこから文句をつけていては、何も始まらないと思うんだけどね。(笑)![]()
どんな作品にも背景というものが存在するし、だからこそそこに生まれた人物達が物語上で活きてくるわけで、原作者ありきであればそこんところも大切にしてほしいなと思いますね。





