傷は消毒してはいけない | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

医者になったころ、術後の傷というのは、毎日表面を消毒するのが当たり前だった。外科の医者の日々の仕事というのは、毎日毎日縫合部の表面を消毒することだった。

 

傷を消毒してはいけない

 

こう言い始めたのは、形成外科医夏井睦先生だった。日本中の外科医から総スカンをくった。傷と言うのは消毒しなければならないとみんなが思っていたからだ。

 

今や、ほとんどの外科医が傷を消毒しなくなった。数十年たって、夏井先生の言葉を信じない外科医はほとんどいなくなったのだろう。

 

夏井先生は、東北大の6つほど先輩で、東北大の耳鼻科の医局にいたときに、夏井先生は形成外科の医局長だった。耳鼻咽喉科の手術のときには、癌を取り除く耳鼻咽喉科チームと、とった部分を補う形成外科チームが一緒になって手術をした。

 

その後、キズの治療にも、常識を覆す方法をみつけた。それが湿潤治療である。今でこそメジャーな治療であるが、この治療も全国にひろがった。要点は、傷は乾かすなということだ。表面を穴の多いガーゼで覆うのはキズの治りを悪くする。表面を覆い、傷を湿らせておくことで治りが早くなるということだ。今や、この治療が全国で行われいる。

 

傷は乾かしてはいけない

 

さらに、火傷の治療も革命だった。火傷にも湿潤治療を導入し、何もしないほうが傷の治りがはやく、火傷の拘縮を防げるという理論を披露し、実践した。野口英世のような手の合併症は、このような治療で防げるというのだ。拘縮を手術で治す。これが形成外科医の仕事のひとつであり、それにまっこうから反対したために、形成外科学会の怒りをかって、追い出されたそうだ。

 

その後、夏井先生は転々とし、現在は江東区にある門前仲町で開業している。なついキズとやけどのクリニックである。

 

キズをきれいに、そして痛くないように治してもらいたいのなら、このクリニックの受診をすすめる。が、そんな患者は当院にはめったにこないなあ。子どもの傷、心配な人は、ここのクリニックを受診してみてほしい。