2日目は入居者への挨拶回りだ
お年寄りには幾つかのパターンが有って
陽気な人 寡黙な人 神経質な人が居る
神経質な人は触らぬ神に祟りなし!で
余計な御世話は禁物で
出来るだけそっとしておくのが良い
挨拶回りの時に先輩から
その人の特長となる事柄を見つけ
メモを取るべし‼と言われた
そしてこれから挨拶をするお客さまは
特に煩いからと注意をされていた
タイトルの頑固爺である
山田さんが付けたアダ名は
「浪花金融道」
この爺ちゃん 関西出身で何故か
東京人に敵対心を燃やしてる(笑)
関西で金融関係の仕事をしてた
だけあって物事に細かい
山田さんには秘策があった
山田さんは関西系に強いのだ!
親戚が関西に居るし 友達も関西人が
数人居るので 横浜育ちの山田さんは
言葉のイントネーションから方言
御座敷マナーまで関西流を使いこなす
えっ⁉御座敷マナーが何でカンケー
有るのかって?
この爺ちゃんの部屋は畳敷だったのさ~
部屋の入り口を開け先ずは一礼
畳の上に上がる前に靴を脱ぐのだが
ここで先輩と山田さんの差が出た
前向きに靴を脱ぎそのままズカズカと
上がっちゃう先輩(笑)
山田さんは爺ちゃんに尻を向けない
様にして腰を落とし靴の向きを直す
畳に1歩上がり正座をし
三つ指を着いて再度お辞儀をした
『昨日入職致しました山田と申します
不慣れ故 至らぬ事御座いましたら
遠慮なく申し付けくださいます様
お願い致します』
爺ちゃん『うむ 宜しい上がりなさい』
座布団を勧める爺ちゃん
山田さんは座布団の横に一端坐り
膝を崩さぬ様にして座布団に座る
先輩はと云うと……
座布団の上に立ち~からの正座!
世間話の前に爺ちゃんの経歴を聞いた
関西で生まれ育ち家庭を持ち
仕事も真面目にし
息子が独立して 夫婦で仲良く
老後を過ごそうとした矢先に
奥さんに先立たれたという
一人で生活をするのは心配だと
東京の息子の元に来たが
周りに関西出身者が居ない寂しさと
東京人への敵対心が原因で孤立
老人ホームに入れられるハメに
なったのだ
ホームに入ってからも周りに馴染めず
食事以外は引き籠りになっていた
一通り話を終えた爺ちゃんが
『山田さんは生まれはどちらかな?』
山田『ウチは横浜生まれでおす
関西に親戚が居てはるよって
関西出身のお人と話す時は
関西弁つこうてます』
一気に世間話に花咲く
浪花金融道爺ちゃんと山田おばば
先輩は圏外だったよ~(笑)
こん時の爺ちゃん
嬉しそうやった
わぁ
ウチは忘れて
おまへんえ~
爺ちゃん天国で
おぶう飲んで
まっか?
老人ホームには様々な人が居る
ほんの些細な気遣いで
職員と入居者の心が通うようになる
因みに この爺ちゃん向けに
関西弁と御座敷マナーを先輩職員に
レクチャーする仕事が増えた
山田さんであった